ガーナ館
ガーナ共和国
自然を通じてより豊かな生活を
正方形の角を切り落としたような不等辺八角形の同じ大きさの建物二つを、少しずらして南北に並べた平屋建ての展示館であった。
館内の展示スペースは南北両館とも円形で、その中心部が、北館ではココア・スタンドなどの売店に、南館では事務室になっていて、それぞれ円形にとられていた。その外周、つまり 2 重同心円の間が通路となっていて、そのまわりが展示部分であった。観客は S 字形に見て歩くようになっていた。内部は人なつっこいガーナの国民性を反映して、明るい色彩で統一され、特産のガーナ材がふんだんに使われていた。
北館の東側に鳥居のような形をした入口があったが、これはガーナの伝統のうえで重要な意義を持つシンボリズムを表現したもので、酋長(しゅうちょう)の尊厳を示すアシャンティ・ストゥールというイスを型どったものであった。
写真やパネル、実物の展示でガーナの様々な分野が紹介され、産業、社会、文化の発展に取り組むエネルギーに満ちた国民の姿が強調された。
まず入口を入ると正面に、厳かに正座した大酋長の像が置かれていて、その背後に大酋長を祝福する部族民の大きな写真が展示されていた。
次の壁面では地図、電力、アルミ、ボーキサイト、金、ダイヤモンド、マンガン、工業開発などのパネルやコルトンの展示が続いた。特に、この国の電力事情に大躍進をもたらしたボルタ川大ダムのカラー写真、アフリカ最大といわれるテマ市のアルミ精練所の写真、ダイヤモンドのカッティングの写真など、いずれもガーナの近代化を示す展示が注目された。
これらの展示に向かい合った中心部は、政府直営のココア・スタンドで、1 カップ 100 円で名産のココアがサービスされた。このスタンドの裏側の壁面には「ガーナのココア」の解説がしてあり、その前にココア栽培の模型展示があった。模型はプラスチック製で、長さ 20 センチメートルぐらい、薄褐色の実のなったココアの木と人形によって収穫の模様が説明された。
両館をつなぐスペースでは、農産物が説明された。南館に入ると、マホガニー、ウォールナットなど、この国の硬質木材を写真やパネルで紹介し、豊富な森林資源が示された。続いて織物、金銀細工、陶器、へビ皮細工、ゾウゲや動物のツノで作った装飾品、1メートル50もあるゾウゲなどが人目をひいた。
出口近くにはみやげ物の売店、観光のパネルがあった。最後のコーナーには、木の枝に 15 羽の鳥のハク製がとまらせてあり、原色の美しい 30 種のチョウの標本が展示されていた。