マダガスカル館
マダガスカル共和国
繁栄する未来を望んで
ともにもろ手を組みつつ
同じ大きさのピラミッドのような形の建物四つを組み合わせ、外観は山の峰、平面的には花のように見える展示館で、うち一つが出入口のついている展示場、残りが部門別になった展示場であった。また中心部に設けられた円形スペースも 4 等分され、入口部分が動物のオリに、あとは案内のカウンターなどになっていた。
傾斜した外壁面は白く塗られ、西南向きに開いた出入口は正三角形で、外枠の二辺が赤く塗られていた。構造は H 型鋼を主体にした鉄骨造、平鋼板を溶接して張り、合成樹脂粗面塗料を吹き付けしてあった。中心部の屋根がスリット形天窓になっており、強化ポリエステル張りであった。また鋼板を使用しているため、断熱の必要から下地に厚さ 50ミリメ ートルのスタイロフォームが張り付けられていた。
館内では観覧順路が指定され、観客は指定順路に従って展示場を時計の針と同じ方向にひと回りし、再び出入口から出るようになっていたが、出入口の横には水牛の頭がい骨 2 個をつけたポールが立っており、観客を珍しがらせた。
展示はマダガスカルの雰囲気を感じさせる入口ホールと「手工芸品コーナー」「標本コーナー」「鉱石コーナー」に分けて展開された。
まず、入口ホールには、チラナナ大統領(当時)の肖像写真とマダガスカルの国旗が掲げられ、観客を迎えた。正面の動物のオリにはキツネザルの一種であるワオ(輪尾)レムール 2 匹と、ホーシヤガメと呼ばれるマダガスカルの陸ガメ 2 匹が入れられ、この国の珍しい動物を紹介していた。その近くには熱帯植物も置かれ、暑い国の雰囲気を漂わせていた。
「手工芸品コーナー」では、陶器や麦わら細工などの手工芸品のほか、農産物や食料品など、特色のある展示物が陳列されていた。
次の「標本コーナー」は、マダガスカル館の中心的な展示場であった。なかでも 300 年前に絶滅したといわれる“怪鳥”エピオルニスの卵(直径 30 センチメートル)が展示され、人気を集めた。この鳥はダチョウをさらに大きくしたような巨大な鳥で、象鳥、恐鳥とも呼ばれ、高さが 3メートル、体重が500キログラムもあったといわれている。展示された卵は 1967 年に東京農業大学の生物調査隊がマダガスカルの海岸で発見したもので、同大学の研究室に保存していたのを、国際親善のため公開したものである。
卵はダチョウの卵の 7 倍、ニワトリの卵の 180 倍。ガラスケースの中に、ダチョウとニワトリの卵とともに並べて展示され、比較して見られるようになっていた。
その奥には、恐竜の大たい骨の化石をはじめ、各種の化石、珍しいチョウなどの標本類が展示され、中央寄りにはラム酒の試飲コーナーも設けられていた。
第 4 の部屋は「鉱石コーナー」で、豊富な鉱物資源の黒鉛をはじめ、クローム、雲母、紫水晶などの鉱石の標本や、化石が紹介された。この部屋の中央寄りには、特産香料「バニラ」の販売コーナーもあった。