三菱未来館
三菱万国博綜合委員会
日本の自然と日本人の夢
未来建築のビジョンである人間と建物との有機的な“対話”を生む空間として設計された。また建物の各ブロックの分離を避け、量感を与えるように一点に集中させ、その中での変化を建築表現のよりどころとしていた。建物は鋼管立体トラスト構造、鉄骨造の 4階建て、間口 135メートル、奥行き 65メートル、最高部の高さ 50メートル、天・地・人・真・副・体といった造形手法が応用された。青いななめの模様が外壁に描かれ、太陽の光りと影の移りかわりと、見る人の位置によって様々にに変化し、“動く建物”と話題を呼んだ。
観客は 1 階のホール部から入り、エスカレーターで 3 階の展示スペースヘ導かれ、全長 152メートル 81 のトラベーターに乗って、五つの展示室を回る仕組みになっていた。
50 年後の日本はどのように変わっているだろうかを具体的テーマとして、日本人が自然に打ち勝ち、未来を切り開く姿をドラマチックに、ホリミラースクリーン、スモークスクリーン、球体スクリーン、シルエトロンなど新しい技術を駆使して演出し、観客に未来を実際に体験してもらう方法がとられた。
第 1 室「日本の自然」荒れ狂う大自然の猛威が左右のホリミラースクリーンに映し出された。それは多面スクリーンと巨大なマジックミラーの作り出す別世界で、観客を画面の中に溶けこませるほどの迫真力を持っていた。
第 2 室「日本の空」“透明な青”に包まれた宇宙空間と、緩やかに自転する地球を見ながら、宇宙ステーションの世界気象管理センターヘ導かれた。世界の気象図、気象状況変化の各国語のアナウンス、突然、赤ランプが激しく点滅し、超大型台風の接近を知らせる、といった設定で、気象コントロール・ロケット隊によって台風が制圧されるまでのシーンが、ドラマチックに展開された。
第 3 室「日本の海」周囲はマリンスノーのただよう海底に変わり、海底都市、海中牧場、海底発電所など未来の海洋開発の成果を示す景観が紹介された。この室の終わり近くにスモークスクリーンがあった。これはエチレングリコールの煙の層流をエアカーテンでサンドイッチしたものに、魚の映像を映し出したもので、映像の下を進む観客は大きなフカに襲いかかられるようなスリルを味わった。
第 4 室「日本の陸」 自然と調和した 21 世紀の都市が出現した。緑に包まれた未来住宅の中には、壁かけテレビ、ホーム電子頭脳、電子調整器などがあった。窓越しに見える富士山麓の新居住区は、 21 世紀の居住圏の広がりを表していた。ほかに省力化された農業の姿、高周波誘導道路などの交通機関、人工太陽によるクロレラ培養地の景観などが紹介された。
第 5 室「あなたも参加する」大スペースを持つレクリエーション・ルームであった。 3 階と 2 階にまたがり、3 階には踊る観客の姿を ITV がとらえ、即時に巨大なスクリーンに 5 倍の大きさに映し出す「シルエトロン」があり、 2 階には 220 度超広角レンズを使って球体の中から映像を映し出す球体スクリーンがあって、 3 次元の映像を作り出した。
(この館のプロデューサーは田中友幸であった)