ウルグァイ館
ウルグァイ東方共和国
国境のない世界―地上から貧困を追放するための人類の努力
変形六角形で、外壁をハーフミラーガラス張りにした鉄骨造、平屋建ての展示館であった。各辺の長さは、最長が 9メートル、最短が 1メートル80 と、それぞれ違っていた。出入口は東北側にあった。
鉄骨材部分はブルーのペイント仕上げで、屋根は砂付きルーフィングのアスファルト防水になっていた。内部は全部展示場で、スライド映写装置や写真パネルを展示するついたてなどが設置され、売店を兼ねた案内カウンターもあった。観客は指定順路に沿って右回りに観覧するようになっていた。
展示物やスライド、写真パネルでウルグァイの産業、文化、社会、観光が紹介され、快適な気候と豊かな資源に恵まれたこの国の楽園ぶりが強調された。
まず、入口を入った正面には、国旗と大統領の肖像写真が掲げてあった。その左手の壁面には鉱石のサンプルが並び、ついたての南側に国情を紹介する写真展示があり、その奥には、毛皮、ギター、アルコール、書籍、たばこなどが陳列されていた。
壁面の観光ポスターや写真展示に続いて、南アメリカ一の観光国として脚光を浴びているウルグァイの風物がスクリーンにスライドで映し出された。夏の行楽地として世界的にも有名なプンタ・デル・エステなど、大西洋にのぞむ美しい観光地の風景が次々に紹介され、観客を楽しませた。また、北側の壁面にも観光ポスターや写真が並び、観光国としてのウルグァイが印象づけられた。
ついで、毛皮、コート、バッグ、帽子、なめし皮、鉱石などが並べられ、写真パネル展示、案内カウンター兼売店と続いていた。売店では絵はがき、スライド、案内書などが売られていた。
なかでも観客に好評だったのは、ウルグァイの最大の行事であるエル・プラード(家畜品評会)で入賞した牛のなめし皮であった。この品評会は、ウルグァイの経済を支えている牧畜業を記念する最大の行事で、毎年 3月末から 1 週間にわたって開かれ、各地区から選抜された牛、羊、馬など約 500 頭が参加し、そのスタイル、毛並みなどを競いあう、この国で最も権威のある品評会である。見物人も 10 万人を越えるという。
次の壁面は、ウルグァイ館が最も力を入れていた国情紹介のパネル展示であった。進歩した文化、政治、社会制度が説明され、とくに階級制や内外人の差別のないすべての市民の完全な自由と平等、初等教育から大学教育までのすべての教育費の無料、医療費の無料などが強調された。こうした世界有数の高度福祉国家ウルグァイの平和な国民生活は、この館のテーマとともに、観客に強い感銘を与えた。