オンタリオ州館
オンタリオ州(カナダ)
オンタリオ人のお祭りの姿
外壁がブルー、柱と大梁が白という“湖の国”らしい地下 1 階、地上 3 階の展示館で、構造の単純化と部材のプレハブ化をうまくミックスさせていた。外壁には、日英両字の大きな館名表示板と州花トリリアム(白花えんれい草)の大きな図案が掲げられ、すそのフリーズ部分にもトリリアムのデザインが施されていた。
展示館の中心ともいうべき劇場は、建築面積の大半を占め、地階から地上 3 階まで吹き抜けで、825 人を収容できた。ロビーはカナダ特産のテキサス・カーペットを敷きつめて豪華な雰囲気を出していた。
1 階は劇場部分以外は館長室、事務室などの管理部門で、展示スペースは北側の 2 階にあった。観客は、館の東南にある折れ曲がったスロープの廊下から、まず 2階の展示場へ入り、つぎに劇場に入るようになっていた。
展示室の入口付近に、オンタリオ州を紹介する大きな地図が掲げられ、実物展示場にはレジャー用のキャンプ・トレーラーや、スノークルーザー、カヌー、1,200㏄の大型オートバイをはじめ、インディアンの手工芸品、はく製のクマ、ボードクラフト、鉱物、オンタリオ・プレースの模型、200 万キロワットの原子力発電所の模型などが展示された。観客はこれらの展示物に乗ったり、手で触れたりすることができた。
440 人を収容するスライド映写室では“モジュラー・コミュニケーションズ・ビーイクル”と呼ばれる独特の自動映像装置で、オンタリオ州の都市や住民、産業、レジャー、州花などが、長さ 30メートルのスクリーンに映し出された。
劇場では、有名なナイアガラ瀑布や五大湖があるオンタリオ州の美しい自然と、住民の生活などを描いた「オンタリオ・21 世紀への飛躍」という 70ミリの多映像カラー映画が上映された。とくに、ナイアガラ瀑布をヘリコプターから撮影したシーンは圧巻で、高さ 11メートル、幅 27メートル50 の大きな曲面スクリーンに映し出された画面は、200 個のスピーカーを使った音響効果も手伝って、観客に実際にオンタリオ州を旅行しているような迫力を感じさせた。この映画の監督は、モントリオール博で上映した映画でアカデミー賞を受けたドキュメンタリー映画の作者クリストファー・チャップマンであった。
この館には多数のオンタリオ州民が勤務していたが、とくに他の展示館と異なっていたのは、2 人のサージャントを含む 16 人の州警察官が来ていたことであった。警察官は金色にフチどられ、ズボンに赤い線の入ったネービー・ブルーの制服で、観客の人気を集めていた。