サンフランシスコ市館
サンフランシスコ市(アメリカ合衆国)
太平洋を越えた調和
サンフランシスコ湾に沿って広がる美しい公園風景をヒントに設計され、エキスポランド東北隅に建てられた平屋建て 4 棟の展示館であった。基礎部分以外はすべての材料をサンフランシスコ市から取り寄せたプレハブ、軽鉄軸組みで、幅約 10メートルの箱形の建物4 棟は、黒と白のシンプルな色調であった。
入口の右側にケーブルカーバス待合所、左側にレストランの建物、その奥に右から左へ美術棟、管理・ⅤIPラウンジ棟、主展示棟、売店棟の各建物が、いこいの広場を囲んで並び、サンフランシスコ湾の美しさを表現していた。主展示棟はすべて壁の外側を大きな写真で飾り、現在のサンフランシスコ市やベイ地区(サンフランシスコ湾一帯)の風物を示していた。
正面を入った右側のケーブルカーバス待合所は、サンフランシスコ市名物のケーブルカーにタイヤをつけて改造したバス 4 台が発着し、エキスポランド内を巡回していた。待合所には、このケーブルカーバスの内部と同じベンチが二つ置かれていた。
また、美術棟と主展示棟の外壁が直角に交わるコーナーには「セント・フランシス・ガンズ」と呼ばれる高さ4 メートル20 の像が立っていた。この像は、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件などの暴力ヘの憎しみの先頭に立った市民が、危険な武器を自ら捨てようとの市長の呼びかけにこたえて供出した 2,000 丁の銃器を鋳つぶして作ったものであった。彫刻家ベニアミーノ・ブファーノの作で、像の胸のあたりにはリンカーン、ルーサー・キング牧師、ケネディ大統領、ロバート・ケネディ上院議員の、いずれもテロの凶弾に倒れた 4 人の顔が、その下には合唱する子どもの群れとネコ 2 匹が、それぞれモザイク・タイルで描かれていた。
美術棟には、現在活躍しているベイ地区の作家 34 人の絵画 28 点、彫刻 6 点が展示されていた。主展示棟西側中央の、大きな市紋章の下の入口を入ると、市街区の模型、ケーブルカーの歴史を説明する写真パネルや歴史的記念物、ウェルズ・ファーゴーの駅馬車の実物などが見られた。そのほかハムの交信施設や大阪市との“姉妹関係”を強調した展示もあった。
売店の中央には大きな円形スタンドがあり、アーモンドの実、絵はがきなどが売られ、この建物の付近には旗ポール、ケーブルカーの形をした花台、ピーター・ブルコス作のブロンズ彫刻、古風な街灯などがあり、楽しさをひきたてていた。レストランはサンフランシスコ市直営で 150 席。周囲には半分に割ったぶどう酒だる、昔のワインしぼり器などが飾られ、チキンのてり焼き、ハンバーガー、ケーブルカー・クッキーなどが販売された。