ペルー館
ペルー共和国
国民の進歩と発展のための平和革命
120 度に折れ曲がった変形八角形の展示館であった。外壁はハーフミラーガラス張りの明るい建物で、鉄骨造の平屋建て、鉄骨部分は全部ブルーのペイント仕上げになっていた。
館のあったインターナショナル・プレース 2―A の敷地は、西北から東南にかけて低くなり、上、中、下の3 段に分かれ、ペルー館はホール、休憩所などの共用建物 2 棟とともに上段にあった。
一辺 7 メートル 20 の正三角形五つを連ねて「くの字形」にし、その両端の三角形の頂点を切断した形で、屋根はアスファルト防水に折板を使用、床はビニールアスベストス・タイルと一部カーペット敷きであった。
建物は大部分が展示場で、切手の売店を兼ねた案内カウンター、映写施設、展示台が設けられていた。
インカ帝国の遺跡で知られるペルーの文化遺産と、産業、社会の発展ぶりが、展示物やカラースライド、写真パネルで紹介された。そして、伝統文化と豊富な資源に恵まれて、目覚ましい経済成長を続ける南米一の高度成長国家、ペルーを印象づけた。
入口を入ると、すぐ左手の壁面にアルパカのベッドカバーや壁かけ用織物が飾られていた。その前から奥に向かって六角形の吊りケース 5 個が並び、木の実などを使った細工もの、木製品、カボチャのような実の中身をくり抜いて作った鉢(はち)、表面にくし目模様の入った木製コップなどの珍しい民芸品が展示され、精巧な細工に観客の関心を集めた。
これに続いて四つの六角形の展示ケースが置かれ、ペルー館の呼びものといえる文化財が展示されていた。それは、紀元 500~1000 年のインカ帝国の遺産である陶器の数々で、なかでも、褐色の鳥の絵が描かれた「ビシハ・ナスカ」と呼ばれる水差しをはじめ、2 人が荷物に棒を通して運んでいる素朴なデザインの「ビシハ・チームー」という水差し、Y の字を逆にしたような取手がつき、武装した戦士の像が描かれた「カンタロ・モチーカ」と呼ばれる容器などで、どれも 30 センチメートル前後の小品だったが、観客の目をひいた。このほか、1,000年前の横 30 センチメートル、縦 20 センチメートルぐらいの「金の面」「三博士の像」や織物などが並び、壁面には写真パネルがあってペルーの風物を紹介していた。
展示場の中央付近にあったカラースライドのコーナーでは“南米の屋根”といわれるペルーの高原地帯をはじめ、アマゾン川、チチカカ湖の風景など、美しい自然が映し出された。ほかに、土木開発や産業を紹介する写真パネルもあった。
カラースライドコーナーの裏には、政府直営の売店があって、パパイア、グレープフルーツ、バナナ、パイナップルなどの果汁やピスコというペルー産の酒も売られていた。