オーストラリア館
ジュームス・C・マコーミックが設計した、大きな円形屋根を宙づりにした奇妙なデザインの展示館でした。日本の画家葛飾北斎の「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏の富士」に描かれた波と、東京の寺院で見た青銅製蓮台からヒントを得て設計されたといわれ、「恐竜が空飛ぶ円盤をくわえた形」など、さまざまなものを連想させています。 マコーミックは「地中から中空にそびえる片持梁は、大地から資源が生まれ出る姿を象徴し、初めは粗雑で荒々しく、頂上へ上るにつれて次第に精製されてゆくさまを表したものである。この梁から吊り下げられた円形屋根は巨大だが精巧で、オーストラリアが単に原料の国ではなく、すぐれた技術を持っていることを示した。また遠くからながめると、重力から解放されて浮かんでいるように見える。」と説明していました。 波の形をした片持梁は40メートル近い高さで、スカイ・フック(空のカギ)と呼ばれ、10階建ての建物に匹敵したが、実際の利用部分は地上5階、地下1階でした。また、主展示場のあるサンクン・ガーデン(沈床庭園)の底部は、深さでは地下2階に匹敵しました。スカイ・フックの先端から下がったパラレル・ワイヤ・ストランドは20本で、直径48メートル、重さ240トンの円形屋根を吊り下げ、屋根の底部は4箇所で地面に緊結されていました。 円形ホールは中央部が低く、周囲がらせん形の通路になり、約2,000人を収容できました。 円形ホール横のサンクン・ガーデンには直径8メートル、長さ69メートルの円筒形のスペース・チューブが設けられ、主展示場となっていました。
円形ホールでは、9面のスクリーンに、英連邦映画局製作の映画が上映され、オーストラリアの人たちと生活、文化、自然などが紹介されました。ホール中央にはオーストラリアと日本が東経135度上に位置していることを表した大地球儀がありました。 スペース・チューブの展示は、動く歩道に乗ったまま観覧できる仕組みで、その展示は、以下のように4つに大別できました。
オーストラリアの医学者の貢献ぶり、国技ともいえるテニスをはじめとしたさまざまなスポーツを楽しむ人々の紹介
鉄鉱、海中油田、天然ガスなどの天然資源の発見や開発を紹介
現代都市の人工環境におけるオーストラリア人の生活と技術開発を紹介
芸術と教育を通して、人と人、民族と民族の理解のためにオーストラリアが果たしている役割を紹介