アルジェリア館
白い都市”と呼ばれる首都アルジェの印象を強く訴えるため白一色に塗られた、箱形の展示館でした。建物はアルジェリアの伝統的なスタイルを表現し、同時に現代建築の様式も備えた地上3階、地下1階建て。主要な柱はH型鋼とし、梁にはH型鋼とラチス梁を使った鉄骨造で、この上にショットクリートを施し、スプレースタッコ仕上げ、外壁の各面の一部にはそれぞれ四つの正方形の模様が色タイルで描かれていました。 内部の配置は、1階が玄関ホールとレストラン、2階が展示場と管理部門、ホール、3階が展示場でした。展示場は床面がモルタル下地にじゅうたん敷き、壁はモルタル、天井は布張り、映写室は床面がモルタル下地にじゅうたん敷き、璧がじゅうたん張り、天井は布張り、レストランは床が磁器タイル敷き、壁はモルタルのスプレースタッコ仕上げ、天井は布張りになっていました。 また、壁面や天井には、垂直または水平に半円形にくり抜いたデザインが多く使われ、植込みや休憩用イス、展示ケースなどにもこのデザインが活用されていました。
展示は大別して「アルジェリアの風土・文化」「文明の広間」「アルジェリアの経済・産業」「アルジェリアの役割り」「アルジェリア人の顔」の五つに分けられ、映像や文化財、写真などによって展開されていました。これらの展示を通じて、平和と進歩に対するアルジェリアの人たちの願い、あらゆる不正と圧迫の否定、友愛と連帯を強調することが、展示の目的でした。 まず、3階の「風土・文化」。動的なオーディオ・ビジュアル技術を駆使して、アルジェの町並み、スポーツを楽しむ若者の姿、豊かな地中海の漁業などが、7面のスクリーンにスライドで紹介されていました。次の「文明の広間」はアルジェリア館が最も力を入れた展示室で、さまざまな時代の歴史と文明の足跡を示す文化財などが展示されていました。なかでも3頭の馬と1頭のライオンが描かれた「ジョル・ドルバの岩絵」や、長円形の赤い石「タベル・バレットの霊石」など、砂漠の底から発掘された先史時代の遺物から、ローマ、カルタゴなどの占領者たちが残した工芸品などが見られました。 「経済・産業」ではスライドと反射鏡を活用し、農業から近代工業への転換や地下資源の開発など、国民の努力の成果が示されていました。 展示室をつなぐ通路はガラス張りの床になっていて、実物、パネル、カラーコルトンによって歴史の流れを見ることができ、鏡の天井やガラスケースのトンネルなど効果的な展示演出が試みられていました。 2階の映写室では半円筒形のスクリーンに、3台の映写機で「アルジェリアの役割り」が上映され、また「アルジェリア人の顔」では、老若男女を問わず、あらゆる年齢、職業の人たちの顔が写真パネルで展示されていました。 レストランは政府直営で150席。コンボ演奏と踊りを楽しみながら、クスクスなど特産の料理が味わえました。