アフガニスタン館
アフガニスタン王国
進歩と平和と友情
起伏のある三角屋根の展示館は特徴的で、緑色に塗られた屋根はヒンズークシ山脈を表現していた。
また、展示館両側の幅6メートルから7メートルの盛土部分はカブール平原を表わし、周囲には砂利を敷くなど全体として“高原の国”を象徴していた。
展示館の南隅に入口があり、その上下左右の外壁と屋根、盛土部分の間は透明ガラスになっていた。入口の上に国旗の 3 色を並べた中に「Afghanistan」の白い切り抜き文字がつけられていた。出口は北側にあった。
屋根は木毛セメント板の下地にアスファルト・シングルぶきで、外壁の一部にミラーガラスと透明ガラスが使われていた。
観客は、館に入る前に「マルコポーロ・シープ」と呼ばれる大きな羊の顔に迎えられた。これはパミール高原に住み、耳のまわりをらせん状に取り巻く角が約 1メートルもある大羊で、羊肉を常食とし、毛皮、羊毛類を主産物にするアフガニスタンの象徴ともいうべき動物である。
入口を入ると最初が「歴史」の展示で、紀元前 3,000 年ごろの先史時代からヘレニズム時代、仏教時代から回教時代への移り変わりが、写真パネルで説明された。
さらに左手の奥へ進むと遊牧民の生活用具、民芸品の展示で、狩猟用の先ごめ銃や、皮の火薬袋、青銅製の水差し、皿、壺、胸飾り、頭飾り、珍しい楽器などが並べられていた。数々の楽器のなかにはチャン、ロバブ、タンブール、リチャック、ナハラ、ジルバハリなどの、今も使われている伝統楽器があり、関心をひいた。このほか金、銀、銅の細工品や皮革製品も展示されていた。次のコーナーでは、世界最大の仏像がカラーコルトンで紹介された。この仏像はバミヤン渓谷の石窟内に刻まれた高さ53メートルの仏陀立像で、顔の部分がなかったが、これは偶像を信仰しないイスラム教徒が侵攻した際、切り落としたと言い伝えられている。
さらに「教育」「道路・橋」「建築」「鉱工業」「農業」「輸出産業」などの展示が、パネルとサンプルで繰り広げられた。なかでも、カラクル羊からとれるアストラカンの婦人オーバー地、大理石、瑠璃(るり)、織りかけのカーペット、20 種ほどの薬草などが、特に観客の目をひいた。
屋外展示にも重要な展示物があった。一つは、東側の盛土部分の上に展開されたバミヤン渓谷のパノラマで、夜は投光器の光りに美しく照らし出された。もう一つは、入口の手前右側に置かれた「カーペット・テント」と呼ばれるモンゴル風のパオであった。半径 2メートル50 の円形テントで、中ではアフガニスタンの若い女性がカーペットの手織り実演をし、観客の足をとめていた。