ベルギー館
レンガ色の瓦でふいた切妻の大きな屋根と、ゆるい曲線の白壁を持ち、ベルギーの教会や田舎の民家などにみられる建物を現代風にアレンジした展示館で、美しい庭園を周囲にめぐらせていました。ベルギー建築のよさと、日本建築の美しさを取入れたという建物は、間口50メートル、奥行き45メートル、最高19メートル40センチで、ベルギーから運ばれた22万枚の瓦でふいた大きな屋根と、さまざまな曲面の組合わせによって構成された外壁が特色でした。 なだらかな曲面は、館内でも間仕切りや壁面、展示パネルなど随所に効果的に活用されていました。 別棟の管理棟は、地上1階、地下1階、軒高9メートル90センチの長方形で、事務室、会議室、二つのレストランからなっていました。 展示館と管理棟の間は石畳風の広場でつながり、色とりどりの花を植え、石を配した展示館周辺の庭園は、せまい国土で総合開発を進めているベルギーのとくに伝統的な農業の姿を象徴し、平和を愛するベルギーの人たちの生活をしのばせました。 館内は四つの展示部門に分かれ、出入口を除いて窓は1ケ所もない設計でした。このため、内部は中世的な古寺院を思わせるムードで、落ち着いた雰囲気を醸し出していました。またカーペットや家具・調度、照明器具などすべてのベルギー製品が使われていました。 展示館の観覧を終えた観客は、別棟のレストランへ導かれるような配置でした。レストランは、展示館の落ち着いた色調とは対照的に、近代的で明るい建物で、そのコントラストに、歴史の古いヨーロッパ文化を味わうことができました。
展示は「現在」「過去」「過去と未来の間」「未来」の4部門に分かれ、映像や実物、写真などを使って展開されていました。 「現在」では、幅5メートルの入口をはいると、ベルギーの位置を示すアルミニウム製の世界地図と、九つの州を示す銅製レリーフ地図をはじめ、ボードワン国王、同妃両陛下の肖像、シンボル、シール、ベルギーの政治形態などの展示がありました。 この部門でとくに注目されたのは、2台の映写機と28のフィルム、14面の円形スクリーンを使って、ベルギーの産業と人々の日常の活動を紹介した90秒間の無声映画と、レーザー光線による照明効果でした。またグラベルベル工場が開発した“割れないガラス”で作られた「ガラスの滝」をはじめ、“100万ドルの宝石ショー”といわれた1,900ラットのダイヤモンドなどの宝石類、紙工業、織機業、化学工業、ベルギーの発明である抗高温プラスチックの彫刻、鉄鋼と非鉄金属工業の展示がありました。