カンボジア館
カンボジア王国
カンボジアの観光と産業開発
日本の合掌造り風のデザインで、大屋根は60度の急勾配、中央部が二重になった切妻で、2階建てであった。屋根はイエロー・オレンジ色のスレートぶき、ふちはブルーに塗られ、棟や軒先にはカンボジアで作られた装飾品の付いている印象的な建物であった。
入口は館の西南面の左寄りにあって、幅1 メートル80 の階段でいったん2階(観覧用の通路)に上がり、1 階展示場の奥に降りるようになっていた。出口は入口の右下にあり、その出入口のある正面の外壁にはガラスがはめられていた。
展示場の 1 階は奥行き18メートル、幅10 メートルだったが、奥行きの中央部が9メートルにわたって外側に1メートルずつ張り出し、この部分だけは幅12メートルになっていた。展示館の周囲はコンクリートで造られた幅1メートルの枠組みの内側に砂利が敷かれていた。
天井は梁形に集成材を用い、有孔不燃ベニヤ打上げ、カンレイシャ裏張り、軒裏はスタイロフォーム張りであった。
最初は「農・林産品」の展示で、硬質材、砂糖キビ、稲、トウモロコシ、ジュート、ゴムなどのサンプルがあった。奥正面の壁寄りは「工業製品」で、コップなどのガラス製品、酒類、綿糸、麻布などが展示された。その反対側の階段降ロの左側は「民芸品」の展示で、カゴ、バッグなどの竹細工品、コクタンの彫刻品、金糸でぬいとりを施した豪華なクメール族の民族衣装を着た人形、それに仮面、馬車の模型、仏頭などが並んでいた。
東北隅の数段下がった床面へ降りた東壁面には、風俗や舞踊のパネル展示があった。その次は「装飾品」の展示で、主として銀細工品が並べられ、細かい唐草模様のついたスプーンや、飾り刀、皿などがあった。そこをさらに進むと右手に「香油・絹織物」の展示、西側壁面には寺院の外観、石壁、レリーフ彫刻などの写真パネルが並び、部屋の中央にはカンボジア館の呼びものともいえるアンコールワットの精巧な模型が展示され、観客の目を見張らせた。
アンコールワットは、インド文明と中国文明の“交差点”に位置し、両国の文明に影響されながら独自の文化をつくり出してきたカンボジアの輝かしい過去を象徴した遺産で、12 世紀にサルヤバアム 2 世によって建てられた。その壮麗、巨大な遺跡は、数世紀の間、密林の中で眠り続け、19 世紀に探検家に発見されて以来、世界の注目を浴び、“人類の財産”になっている。模型は5メートルに3メートルの大きさで、実物の100分の1、その華麗な姿が見事に再現されていた。
また、出口の右手には仏像 3 体、入口には仏頭 1 体の屋外展示物があった。