キューバ館
ハバナ大学建築科の教授と学生のチームによって設計された展示館は、空間を力強く横切る鋼鉄製のワクで構成され、外壁面に描かれた壁画は、日本万国博とキューバ館のテーマが強く結ばれていることを象徴していました。 建設にあたってはキューバ産の大理石や材料を多数持込み、外壁の壁面製作スタッフも本国から派遣するなど自国の特徴を表現しようとしていました。また立体トラスを最大限に活用して建築の新しい可能性を追求していました。
建物は一辺1メートル80センチを基準寸法とした三角形鋼鉄ワクの立体トラスで27メートル平方の大屋根を造り、それを4本の鉄骨の柱によって地上7メートル20センチでささえる架構法が採用され、鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造の地上2階、地下1階建てでした。
大屋根外縁部の3ヵ所にツノのような立体トラスが「く」の字形に突き出し、屋根は防水アスファルト仕上げとなっていました。
三角形、矩形、五角形の写真パネルを縦や斜めにして天井壁面、あるいは足もとに配置し、それらに光りと強烈なラテンのリズムを配してキューバのふん囲気を作り出していました。 写真は革命前の状況を導入部にし、農民のみすぼらしい住宅と生活、60万人もの失業者の姿、大砂糖きび農園を持つ外国資本の農民からの搾取の状況、社会の腐敗のさまを示し、観客は革命前のキューバの悲惨さを知らされました。
壁面では「シエラ・マエストラの戦い」など革命のための英雄的な戦いと、資本家たちによる残酷な抑圧の状況など苦難の道が示されていました。
次の壁面には、革命後の勝利の喜びと、創意に満ちた建設のための活動が展示されていました。
この館の展示の大半はこの革命後の状況の紹介に使われていましたが、教育制度では、文盲をなくすための努力、成人教育の実施、給費学生の制度、教師の養成などが説明されていました。