エクアドル館
エクアドル共和国
赤道の国
“赤道の国”らしく、周囲がハーフミラーガラス張りになった、明るい展示館であった。西側に出入口があり、その右上に館名標示と国旗が浮き上がっていた。
建物は、6 メートル 70 と 6 メートルの箱形の平屋建て鉄骨造で、露出した鉄骨部分は赤ペイント塗りになっていた。床はモルタル下地をエポキシ樹脂で白赤のしま模様に塗り分けたもので、天井はキーストン・プレート・オイル・ペイント塗り、屋根はシンダーコンクリート下地に防水シートを張ったものであった。
場内は中央に展示台、周辺のガラス壁面に沿って展示用補助壁があった。南寄りに案内カウンターがあり、観客は指定順路によらず、自由に観覧することができた。
「赤道直下の国」エクアドルを訴えるとともに、エクアドルと日本の両民族は起源を同じくするバルディビア民族の後えい(子孫)であることを強調していた。また美術品、民芸品を中心とする伝統文化と、バナナに代表される産業などが、実物や写真パネルによって紹介された。
入口を入ると、インカの繁栄を象徴する「太陽の神」の強烈なカラー写真が掲げられていた。この神は燃えさかる太陽を純金で型どった“黄金のマスク”で、原住民のインディアンが太陽を賛美した信仰のシンボルである。
太陽神の写真の下には、考古学上貴重な資料であるプレ・インカの人形や土器などが展示してあった。2,500 年前のものといわれる石造の出土品「女性頭部」は、高さ約 20センチメートルの、耳・首飾りなどをつけた珍しいもので、紀元前 19 世紀のものという「呼び子笛のツボ」は、茶色の絵具でユーモラスな鳥の絵が描かれていた。このほか、紀元前 7 世紀のものといわれる、シワまで克明に描写されたリアリスティックな作品「老人」や、高さ 60 センチメートルの石造の「擬人香炉」、紀元 5 世紀ごろの彫像「コカをかむ人」などが展示された。
東北隅から東側壁面にかけては、主として宗教に関する作品の展示で、木彫のマリア像、「キリスト生誕」のレリーフや、キト派と呼ばれる人々の作品「キリスト受難像」「出エジプト」「アダムとイブ」など、18 世紀植民地時代に栄えた宗教美術が紹介された。
また、エクアドル領で“原始の島”といわれるガラパゴス諸島の写真や、珍しい貝ガラなどが「ガラパゴスの宝石」として紹介され、この国の主産物であるバナナや、バナナ売り娘の写真も飾られていた。
部屋の中心部には木彫や土器のもう一つのケースがあった。紀元前 1,300 年の土製の碗(わん)、日本の埴輪(はにわ)に似た土製の家、壺(つぼ)などが並んでいた。案内カウンター横には壁かけなどの展示があり、出口近くには観光写真のコルトンも出ていた。なお、館内にはバックグラウンド・ミュージックとして民族音楽が流された。