電力館

参加者

電気事業連合会

テーマ

人類とエネルギー

建物

 展示館は高さ約 40メートル、4 本柱のつり構造の本館と、別館の水上劇場との二つの建物から構成されていた。本館の上部には屋根から吊り下げられた直径 22メートルの円筒形の空中劇場があり、その下に直径 30メートルの「電力ギャラリー」と呼ばれる展示場が吊り下げられた。その総重量は 1,200トンあり、これを 35メートルの四隅に建てた 4 本の鋼管柱が支えていた。水上劇場は、船のように水に浮かんだ外径 23メートルの円形建築物で、上部は 3 本のアーチ形のエアビームと、これらの間に張られた内外 2 重の屋根膜からできた空気構造、下部は鉄骨造であった。底部にビニール膜製の多数の浮袋を持ち、上演中に建物全体が 180 度回転するように設計された。
 照明設備は、電力館という性格上、とくに工夫がこらされた。夜の外観照明は四つの自動制御装置のプログラムによって、色彩、光りの強弱、点滅のリズムで“光りの詩”が演出された。また、劇場などの内部照明は、観客の流れやショーの開演時間によって変化させた。

電力館

展示

 展示は映像、展示、ショーの 3 部門で構成された。観客は、まずチューブ状の橋を渡って館内にはいり、エレベーターで 3 階の広場へ。ここから透明な合成樹脂の膜に覆われたらせん状のスロープを通って空中劇場へ導かれた。
 空中劇場は、円筒形の壁面に沿って 5 面マルチスクリーンが巡らされ、人類が火を使いはじめてから原子力時代に到達するまでの、人間とエネルギーとの関係をドキュメンタルに描いた映画「太陽の狩人」が上映された。スクリーンは幅 22メートル50、高さ 9メートルで、世界各地で撮影された太陽が様々な姿で輝き、その恩恵を受けながら生きる人間の姿が、16 分間にわたって生き生きと映し出された。
 展示部門の「電力ギャラリー」は、原子力発電を中心に、電気の歴史や未来における電気技術の展望を教育的に紹介した展示場であった。六つのコーナーには、原子炉内部の核分裂のイメージを表わした「アトミック・ボール」をはじめ、日本の電力地図「ワイヤー・マップ」、世界各地の原子力発電所を見せる「イドビジョン」などが展示された。最後の「放電コーナー」は、間口 10メートル、高さ 1メートル 80、奥行き  メートル 50 の大きなガラスケースの中で、10 万ボルトの放電の状況を見せ、電気の持つ巨大なエネルギーを表現していた。
 別館の水上劇場では、電気を使ったマジックショー「エレクトリック・イリュージョン」が上演された。高周波、無線送電、FM 超短波、磁気作用など、最新の電気特性とマジックの手法を結びつけたショーであった。南米産電気ウナギの「ハプニングショー」、マジシャン引田天功のスクリーンとのかけあい奇術「マジック・バラエティ」、レーザー光線マジック「空飛ぶ自動車」などが幻想的な雰囲気に誘い、観客の人気を呼んだ。
(この間のプロデューサーは小谷正一であった。)

空中劇場の映画「太陽の狩人」

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