ガボン館
ガボン
対話と進歩
白い積木を組み合わせた形の調和と品格を持った館であった。外部装飾は、イタリアの建築家オリビエリがおこなったが、白い縦の線を持つ壁面と、一部の壁面に使われたウクメ材の板張り部分や、壁面の同心円状の模様は、単純な中に変化を与え、印象的であった。
西側が入口になっていて、その左側に政府代表室、事務室があり、展示スペースは六つのセクションに分かれて半円形に配置されていた。
館のあったインターナショナル・プレース 1―A では最も高く、H 型鋼を主とする鉄骨架構の建物で、床はビニール・アスベストス・タイル張り、壁は石こうボードのエマルジョン・ペイント仕上げ、天井は石綿吸音板張りであった。
ガボンの地勢、生活、経済発展などの現状を紹介し、展示を通じて世界の人たちとの間に対話を生み、より深い理解と親善、平和と繁栄の達成を、というのが展示の目的であった。
最初の展示室では、正面にアルベルト・B・ボンゴ大統領の写真が掲げてあった。映写室ではマルチスクリーンにスライドが映写され、ガボンの地勢、生活、鉱山開発、水路拡張工事などが紹介された。スクリーンの左側には日本とガボンの位置を示す世界地図、右側にはガボンの地図が掲げられていた。
第 2 室は「森林」の展示で、ガボンの誇る巨大な森林資源や木材の伐採状況などがカラーコルトンで紹介された。多種類にのぼる板の実物、なかでも木目あざやかなウクメを使ったハメ板細工の展示は、伝統的な指物(さしもの)の技法を示したものであった。
第 3 室は「鉱業・エネルギー・工業・農漁業」の展示で、新しい鉱脈が発見されて生産が急増した石油やウラニウム、世界第 2 の埋蔵量を誇るマンガン鉱、電力開発その他産業各般から、文化・教育面までが写真パネルで展示された。
第 4 室は館の北端にあって、「社会、経済の発展」の展示であった。1969 年に着工された首都リーブルビルに近いオウンド港の建設工事をはじめ、自動車道路、鉄道建設工事、故アルベール・シュバイツァー博士のランパレネのハンセン氏病施療病院、首都近郊の海水浴場、大魚のとれる海、象や野牛の群がる大草原などがカラーコルトンで紹介された。一番奥の壁面にはガボンの過去、現在、未来を示す地図が掲げてあった。
第 5、6 室は美術・工芸・伝統の展示で、木彫りの土俗人形、ラフィアの編組品、石彫細工、木彫りの面などが展示されていた。出口近くでは、ガボンの工芸家がムビグー産の石を素材にして頭・胸像、面などを彫る実演を行い、観客の足をとめていた。この作品や工芸品は売店で販売された。