ハワイ州館
ハワイ州(アメリカ合衆国)
ハワイーそれは太平洋諸国の理想的な会合地
“火山の島”ハワイが、火山灰に覆われた火山のような、頂上部を切った円錐形の建物で表現された。設計は日系人建築家ヒデオ・ムラカミ。
直径 21メートルの展示館は、鉄骨、ラスシート張りにショットコンクリートの吹きつけで、屋根、内・外壁などほとんどの部分が 15 センチメート角の特製コンクリート・タイル約 8 万枚で仕上げられた。このタイルは、表面がピラミッド形に盛り上がった、ハワイ州議会議事堂の外壁を摸したもので、頂上部分は赤と黒、すその部分は黄と緑というふうに色を使い分け、それに外周部の花樹園が連なり、活火山を思わせた。特に夜は、特殊照明によって木の間にトーチが燃え、火山部分は火の色に照らし出され、迫力があった。
館の東北部にあった入口へは、なだらかなランプウエーでおりるようになっており、身体障がい者も車イスのまま入館できるように配慮されていた。ここはついたてで左右に分けられ、左が入口、右が出口になっていた。地下は円形の大展示室で、映画館を兼ね、出口のすぐ左手には直径 9メートルの円形の小展示室が突き出し、大展示室を囲むように倉庫、事務室などの管理施設があった。
展示館には窓がなく、内部は南国の海と空を思わせるオーシャン・ブルーのドームで、天井の中央には、直径70 センチメートルのミラーボール 80 個の大シャンデリアが輝いていた。
入口のスロープに沿って作られた石組みの裏側では、ハワイから送られてきた生花や熱帯植物、造花がハワイムードをふりまき、大展示室正面の特設舞台では本場のフラダンスやハワイアンが楽しめた。
天井ドームには、中央にハワイのレリーフ地図、周辺に太平洋の“家族国家”の地図が掲げられ、側壁の 3 ヵ所にはポリネシア風のタパ布を張ったスクリーンが取り付けられ、ハワイを紹介するカラー映画が上映された。中央映写室の周辺は、観客が五感でハワイが感じとれるように考案され、昔のハワイを描いた大壁面、現在の島々の風俗、多民族が融合して生活するハワイの住民の表情や、著名人の肖像などのカラー写真があった。また、ハワイ州が提唱しているパシフィック・センターの模型や、キウイ鳥の羽などで作ったカメハメハ 1 世の仮面など、珍しい展示物もあった。小展示室には、太平洋地域に住む各民族の実物大の壁面写真と美術品が展示されていた。
なお、ハワイ館のホステスは歌、フラダンス、ウクレレ演奏などの“特訓”を受け、観客やほかの展示館でもフラダンスなどを披露し、親善の実をあげた。