三井グループ館
三井グループ万国博出展者会
創造の楽園
中央に直径 40メートル、高さ 30メートルの大ドームがあり、それを取り巻くように、観客の通路であるチューブ(直径 3メートル、全長 400メートル)があった。またドームに付属して、斜め上空に突き出した階段状の休憩ロビーや、100人収容の水上円形レストランなどがあり、全体として、複雑で変化にあふれた複合的な建築群が作り出された。
建物の周囲には、入口広場や、ひさしのついた待合いスペース、階段席もある「出会いの広場」などが配置されていた。特に木曜広場寄りには、高さ 50メートル、電動モーターで伸縮するニューマチック構造のシンボルタワーがそびえて、その足元には「出会いの広場」の一部が基壇状に構成されていた。
最大の呼びものは、スペース・レビュー「宇宙と創造の旅」であった。大ドームには、80 人乗りの3 台の空中観覧席(せり上げ回転式展望装置)があり、音楽とともに、この観覧席は地上 10メートルから 20メートルの間の上下運動と、2 種類の円運動をゆっくり始める。720平方メートルという巨大なスクリーンの上には、水蒸気、海、動物から、現代―未来にわたる様々な現象が、18 台の映写機、9 台のプロジェクターから映画とスライドで映し出された。さらに、1,726 個のスピーカー群を組み込んだ空間音響システム、オブジェや特殊照明装置を使用した立体的演出装置が映像と音と光りの一大シンフォニーをかなでた。
観客は、宇宙船に乗った宇宙人のように、地球上の文明や自然を突っぱなしてながめ、創造の主人公になったような思いを味わった。それはまた観客にとって 360 秒間の幻想と現実の入りまじった不思議な複合体験であった。
この館の観客は、人口広場に描かれた無数の矢印模様の上をゆっくり移動している「モビスコープ」の動く光りのサインと音響によって誘導され、エスカレーターの両側にある互いに反射し合う大きな鏡面に無限の空間を感じさせられた。
エスカレーターを降りると、泡のトンネルへ導かれた。二重の合成樹脂のチューブ状の通路の両側から、7色の泡が絶えず吹出しては消えた。泡に包まれたトンネルはまさに夢幻の世界であった。
スペース・レビューが終わると、観客は、緩やかなスロープのトンネルの内側に特殊印刷装置によって焼き付けられた写真を見ながら、降りるようになっていた。
最後は「思い出」の空間であった。ここには階段状の休憩ロビーが設けられており、観客はゆっくりとくつろぐことができた。展示館から出たところが「出合いの広場」で、空気構造としては会場で最も高いシンボルタワーを中心に、動く彫刻が配置されていた。
「水の庭」に囲まれた直径 1 メートルの三井水上レストランは円形、ガラス構造、屋根と天井を一体としたニューマチック・テント張りで、観客は食事をしながら周囲の水の庭、泡のような噴水群の演出を楽しむことができた。
(この館のプロデューサーは山口勝弘であった)