OECD館
経済協力開発機構(OECD)
国際経済協力を通じて人類の進歩と調和
縦横 20メートル、高さ 10メートル50 の、白亜の高床建築物とプールで構成されていた。長方形(14メートル×20メートル)のプールと正方形(7メートル四方)のプールが展示館の南北に配置され、大プールの方にはタイルで作ったOECD 加盟 22 ヵ国の国旗が底に敷きつめられ、それが夜間も水中照明装置で浮かび上がって見えた。小プールには OECD の紋章が描かれていた。
東西には階段が設けられ、地表から 2メートル50 の箱形展示館に出入りするようになっていた。玄関は強化ガラスの 4 枚扉で、階段部分の壁には網入りガラスが張られ、階段を昇降する人々の姿が映し出された。高床の4 本の支柱は、それぞれ 1メートル四方のコンクリート打ち放しで、この部分は観客の休憩や雨やどりに利用された。
展示館には窓がなく、外壁四面に「OECD」と館名を浮き彫りにしていた。館内は西北隅に事務室、館長室、東北隅に倉庫、便所、その間に 42 平方メートルの映写室兼図書室があったほかは展示場になっていた。
展示の中心テーマは、経済成長のための国際協力と、急速な経済成長に伴って生じる諸問題で、書籍、資料、グラフなどを備えつけ、まるで国際経済に関する小ライブラリーのようであった。
展示は大別して「OECD の今日」「加盟国の経済成長」「現代社会の諸問題」「OECD と発展途上国」に分かれていた。中央階段の上には加盟 22 ヵ国の国名を書いた赤、黄、青、白の四角い電飾柱がつられていた。映写室兼図書室(64 席)では、世界の有名人の講演、セミナー、映画があったが、映画は、OECD が企画制作した「まだ十分でない―Not Enough」(日本語版)という 16ミリカラーフィルムで、随時上映された。この映画はゴールデン・フーゴー賞(1968 年、シカゴ)、ニンフ・ドール・トロフィー賞(1969 年、モンテカルロ)などの賞を受けた作品で、インドとタイで撮影されたもので、低開発地域問題が扱われ、インタビュー場面として、日本、フランスなど 6 ヵ国も出ていた。この部屋と展示場の間には、OECD の出版物、資料が展示されていた。
展示室は映写室側以外の壁 3 面が写真パネル、統計、図表展示にあてられた。まず「OECD の今日」では加盟・准加盟国名、理事会の写真、世界の人口、生産、貿易、開発状況などの図表が出ていた。「加盟国の経済成長」では、第 2 次世界大戦直後の廃虚の模様や、日本の加盟文書に署名する萩原 徹大使の写真、加盟国の国民総生産の数字などが示された。「現代社会の諸問題」では都市の過密、汚染などの実態、これに対処するOECD の活躍、研究機関などを写真で見せていた。「OECDと発展途上国」では、OECD の開発援助委員会(DAC)を中心とする後進地域への援助資金供与、それによるダムの開発工事、農耕、技術指導などが写真で示された。
また場内 2 ヵ所で、OECD の活躍ぶりがスライドで説明された。このほか英国に設置している OECD のドラゴン型高温ガス冷却原子炉の模型も展示された。