中華民国館
世界的な建築家具聿銘が指導する青年建築家グループによって設計された展示館は、中華民国固有の「静観内省」の精神を生かし、近代建築の設計原理である簡素で変化に富んだパターン美を追求していました。 レイアウトは、敷地を一辺18メートルの正方形で格子状に8等分し、これを基準として、その中に展示館、レストラン、広場が配置されていました。 展示館は二つの三角柱形建物で構成され、その間はガラス張りの三つの橋と屋根で結ばれ、漢の王宮の門を象徴し、中華民国と諸外国との長い交流が強調されていました。 この三角柱形の建物には、いくつかの三角柱状ボックスが高さを変えて取付けられ、変化のある空間構成が試みられていました。橋はなだらかな傾斜をもち、透明強化ガラスでおおわれた連絡通路になり、観客はこの橋を渡って10展示場を回っていました。また、各三角柱形建物の屋根と各ボックスの天井に照明器具がはめ込まれ、やわらかい光りを周辺に投げていました。
蒋介石総統の肖像と、4ヵ国語のメッセージが観客を迎え、中国文明の進歩・伝統と現在の中華民国 の姿が、10の展示室で紹介されていました。
古代中国と中央アジア、インドとの文化交流の中心だった敦煌石くつの菩薩像壁面と、飛天像の透明プラスチック製浮彫(模型)などが展示されていました。
象形文字から発展した漢字、筆、墨などのほか中国が発明した印刷術などが紹介され、唐代の金剛経、古代からの製本の歴史などが注目を集めていました。
台北の国立故宮博物院所蔵品を中心に、商、周代から清朝までの代表作が紹介されていました。絵画・絹・書 シルクロードの点灯式地図、絹織物標本の複製パネル、四川省出土の「彩桑図」の拓本、唐代の「草書」「自叙帖」などがパネルで展示されていました。
中華民国建国の姿がスライドで紹介され、国父孫文ら指導者の記録や写真が掲げられていました。
農民、労働者、老人、子供らを通じて、現在の台湾の姿を4面スクリーンの映像で見せていました。
円形スクリーンに「農民の1日」が映され、発展途上国との技術協力の地図や写真が展示されていました。
クリスタルのらせん形の塔で経済発展が象徴され、テレビモニターと壁画で経済活動が紹介されていました。
「世界の展望」をテーマにした部屋で、会場が見渡せ、内部にはガラス美術品が展示され、貴賓室には宋美齢総統夫人の山水画が飾られていました。円形劇場らせん状のランプからは、井戸をのぞくように1階床面の円形スクリーン上の観光映画を見ることができました。広場と中庭には、世界和平の願いをこめて制作された真紅のほうおう(鳳凰)の鉄製オブジェと、中国民族の生命を象徴したがしょう(臥松)があり、人目をひいていました。