リコー館
リコー・三愛グループ
理光―よりよき人類の
直径 25メートルの光像バルーンと、直径 20メートル、高さ 20メートルの円筒状の建物からなり、円筒を囲むように外径 46メートル 60、幅 0. 8メートルの動く歩道があった。
円筒状建物の上部に取り付けられた光像バルーンは、プラスチック製で、円筒の上部から 40メートルの高さまで上昇させることができた。空高く浮かんだバルーンは会場内でもよく目立ち、観客の目を楽しませた。 また、円筒の外壁面とバルーンには光像が映し出され、特に夜は幻想的に輝く仕掛けになっていた。
展示は、この展示館のテーマを表す「天の眼」「地の眼」「心の眼」の 3 部からなり、建物自体も巨大な展示物であった。
「天の眼」(フロート・ビジョン) は、 8, 000 立方㍍のへリウムガスが詰められた半透明のプラスチック製大気球で、鏡面でできた“目”が地上を向き、見上げる人たちの姿を写した。バルーンは遠隔操作によって上昇、下降、回転するばかりでなく、球体の中心に内臓された多数の多色蛍光灯、ビームライト、 電子制御装置によって色々な模様が表面に映し出された。また夜は「作光」と名付けられた 7 色の光線によって、色彩のファンタジーをかなでた。
「地の眼」(スペース・ビジョン)は、円筒形展示館の外壁に映し出される 20メートル四方の光像を、円筒に沿って緩やかに回転する動く歩道のシェルターから眺める仕掛けであった。
ここに映し出された光像は、久里洋二のアニメーション、並河萬里の富士山の写真、行田哲夫の動植物の写真、磯貝 浩、松島駿二郎のヒューマニズムにあふれた人間の写真、ちばてつやの漫画などで、見る位置によってそれぞれ異なった光像を見ることができた。この光像壁面の特色は、壁面に投射された光りが、普通の壁面の反射とは違い、光りの入ってきた元の方向に戻されるようになっていたため、明るい太陽光線のもとでも、壁面上の光像をはっきり見ることができた。
「心の眼」(イントロ・ビジョン)は、中央の円筒の内部空間で、直径 17メートル、高さ 17メートルのほの暗い部屋。天井からは約 50 万個の小さな反射素子が下げられ、これに集中度の高い回転反射鏡からの光りをあてると、反射素子が美しくきらめいて、観客は宇宙の星の中に身を置いたような気分を味わった。
また、この空間では、神秘的な電子音楽が流され、観客は様々な形のイスに座ったり、天上から降り注ぐ無数の光りの下に立ち、無限の広がりの中に吸い込まれるような不思議な体験を味わい、自分の心の底を見つめることができた。
(この館のプロデューサーは山本巌であった)