英国館
高さ37メートルの細長い門形の二重鋼製の柱4基が等間隔に並べられ、これを取巻くように造られた展示館を、各柱からワイヤロープでつり下げた形をして、屋根の全面に大きな英国旗が描かれていました。建物は鉄骨造の白い巨大な箱形で、4基の柱の温点からそれぞれ左右3本ずつの、直径88ミリメートルのスチール・ケーブルでつり下げられていました。スチール・ケーブルは屋根の外縁部と等間隔で結合され、約2,500トンの展示館の重量が各柱に平均にかかる設計でした。 敷地の西かどには高さ45メートルのポールが立てられ、日によって先端にユニオンジャックを描いた直径6メートル10の気球、または英国旗が掲げられました。 また、展示館の外壁に掲げられていた「英国」の文字は、左藤義詮大阪府知事の筆になるものでした。
「英国の伝統」「人類の進歩」「未来への設計」「英国風景」の四つの部門に分かれ、4展示室で展開されました。4部門には4人の設計者とそのグループが決められ、それぞれ分担して演出されました。
薄暗い劇場風の雰囲気を持つ展示場で、床下から照明された通路を通って、新しい視聴覚技術を使った展示を観覧するようになっていました。「英国と民主主義」「英文学」「芸術と劇場」「交通」「産業史」「科学」のコーナーと、1851年のロンドン博の展示がありました。この部門の展示設計はチャールズ・マンローとそのグループでした。
この部門では、研究と工業技術面での英国の功績が紹介されました。まず「人間」のコーナーでは、人間の病気とのたたかいが、次の「国土」のコーナーでは新しい機械化農業、農場用動物の飼育、人工授精、植物の品種改良などが、「海」のコーナーでは北海の天然ガスと取組む海洋掘削の実情が、「海洋学」のコーナーでは海水脱塩装置などが観客の関心をひきました。最後のコーナーは「核エネルギー」の紹介で、ドゥンレー型高速中性子炉の中心部が展示されました。この部門の展示設計は、レスリー・グッディーとそのグループでした。
将来の生活革命に対処するために、英国が払っている努力を紹介する部門でした。おもな展示品は、活字、ラジオ、テレビ、通信衛星と地上放送局、海底電話網、パルス信号変調による“ことば”などでした。機械部門では超音速機「コンコルド」の模型や、その生産や試験飛行が映画で紹介されました。別のコーナーでは、スプレー・スチールなどの製造工程、コンピューター、繊維工学、亜鉛空気バッテリー、炭素繊維などが映像や展示品によって説明され、大気と水の汚染対策計画も示されました。この部門の展示設計はヒュー・キャッソンとコンダーのグループでした。
英国の家庭・仕事・レジャーを通じて英国民の姿を紹介する部門でした。まず「景観」「教育」「ティーンエージャー」「レクリエーション」「家族」「芸術」などが紹介されました。この部門の展示設計はゴードン・ボウイヤーとそのグループでした。
展示を見終わると一段低くなったスタディ・エリアで、英国の書籍600冊、新聞、雑誌を見ることができました。