ワシントン州館
ワシントン州(アメリカ合衆国)
自然と人間の調和
敷地の勾配を利用した、階段状の流れと池の上に建てられた展示館は、水と森と豊かな大地に恵まれたワシントン州を表現したものであった。そのため、建物の内外装にはふんだんに特産のレッドシーダーを使い、周囲には黒曜石や緑石を敷きつめていた。
展示館は、5メートル70 角を基本寸法にした箱形ユニット25 個からできており、積木細工のように見える 2 階建てであった。館内の配置は、入口を入ってすぐのところにカーペットを敷いた展示室があり、左に曲がると展示室も兼ねた待合場、さらにその南側が床面積 230 平方メートル、収容能力 500 人の映画館で、出口は映画館の南側にあった。1 階にはこのほか事務室、機械室が、2 階には VIP 室、映写室などがあった。
全体がロジャー・ティアニー・アソシエーツのデザインで、展示室内では視覚によるほか、立体音響装置によって、奥深い自然林に踏み込んだような感じを観客に与えた。
まず入口の左壁面では、樹齢 639 年という巨木が、アメリカとともに歩んできた歴史を、その年輪で物語っていた。部屋の中央にはマーク・トービーの「パルナス」と題する絵画、その付近にはトーテムポールとインディアンの工芸品、「歴史と定住」「太平洋岸西北部のインディアン文化」の展示があり、インディアンの木製カヌー(長さ 23メートル)の実物も置かれていた。
「木材と関連工業」の展示では、レッドシーダーの切り株をすえ、壁面に 6メートル四方の木製地形地図を掲げて豊富な木材資源と関連工業の実情を紹介した。「原子力」「アルミニウム工業」の展示がこれに続き、核エネルギーの平和利用、アポロ 11 号が持ち帰った「月の石」などが観客の目をひいた。「海洋」「開発」の展示では、港湾やその施設、コロンビア川流域の開発計画がグランド・クーリー・ダムの全容とともに、それぞれ説明された。
「自然資源」「農業」の展示が続き、さらに、この州にあるボーイング航空機会社が製作した最初のボーイング旅客機の模型(2 分の 1)などが展示されていた。人工腎臓や心臓用電子医療器具などの「医学」展示のあとは、「日本との提携関係」の展示で、とくに兵庫県とワシントン州との“姉妹関係”が強調されていた。
映画館では湾曲したスクリーンにディメンション150 という方式で「大自然と人間の調和」という 70ミリのカラー映画が上映された。この映画は、ワシントン州の旅を目と耳で“体験”してもらおうというもので、この州の大都会と天然資源に挑む人々の姿、過去と未来、自然美、港湾、農村、ボーイング 747 などを“ワシントンの音”というマルチ・チャンネル立体音響とともに展開してみせた。上映時間は 12 分間で、15 分間隔で終日繰返して上映された。
なお、ワシントン州館のホステス 12 人は、2 人がワシントン州出身者だったが、あとの 10 人は“姉妹関係”にある兵庫県の女性であった。