日本庭園
日本庭園は日本万国博覧会に政府出展施設として、日本の造園技術の粋を集めて造られた名園です。
博覧会当時は、林立する近代建築パビリオンの未来空間と対比して、自然・緑の憩いの場を提供する役割を果たしていました。
庭園の面積26ヘクタール、東西1,300メートル、南北200メートルの細長い地形に水の流れを造り、西から東に向かって流れるせせらぎに沿って、上代から中世、近世、現代へと4つの造園様式を取り入れ、わび・さびの世界に時を忘れる贅沢な散歩道へといざないます。
また、庭園の設計は、水の流れに人類の進歩と時の流れを象徴させ、全体として調和のとれた一つの作品を作ることも意図しています。
本庭園は、国の文化審議会において「造園文化の発展に寄与した意義深い事例」として評価され、2024年(令和6年)10月11日に国登録記念物(名勝地関係)として文化財登録されました。
●園内をご通行の際は、お足元に十分ご注意いただけますようお願いいたします。
園内は自然豊かな環境にあり、川沿いなど水気のある場所や落葉や苔類のある場所も点在しております。加えて、降雨によって滑りやすくなりますので、滑りにくい靴を着用されるなど、予めご準備をお願いいたします。
平安時代は貴族の“寝殿造り”と呼ばれる邸宅に付随して「寝殿造り庭園」が作庭されていました。
「深山の泉」は、迎賓館を寝殿造りの建物と見立て、この様式をモデルとして作られており、迎賓館のまわりのモミやイヌマキなどは、奥深い山を思わせる景観を形成し、泉から湧きだした水は“時の流れ”を象徴しています。また、この泉は4つの時代の庭園様式を取り入れた万博日本庭園の源泉を表現しています。
平安時代は中国大陸の影響を大きく受けて、海をイメージした庭が発達しました。
「深山の泉」に立つ石は、島々を表し、手前の石敷きは海岸の多様さを表した洲浜をイメージしています。
平安時代の貴族は、この庭を儀式の場や遊興等に利用していました。
「木漏れ日の滝」は、高さ3.5mの二段落ちの滝を中心に、その左に一つ、右に二つの形の違った小滝で構成されています。主瀑に使われている石は、庭園で最も大きく、その重量は1個で17tもある巨石が用いられています。
滝口からの渓流は、流音、姿とも人工の流れとは思えないほどの力強さがあり、両岸にはモミジが多植され、新緑の薄葉を通す光や樹冠の隙間を通る木漏れ日、秋に真っ赤に染まった葉など、訪れるたびに違った表情を楽しめる紅葉渓の景色を呈しています。
昔の人々は、滝の力強さや躍動感に心を動かされ、数々の和歌を残しています。
日本庭園を造成する前の千里丘陵には大規模な竹林が広がっていました。「竹林の小径」は、郷土の風景を再現するためにつくられた場所で、タケの下にはセンリョウ、マンリョウ、ナンテンなどが植えられ、“もののあわれ”を感じさせる静かな流れも配置されています。
手入れされた竹林の静けさの中で、「ししおどし」や「せせらぎ」の音がどこからともなく聞こえ、いっそうの静寂を感じるこの場所で、千里の郷土風景である竹林を思いながら、穏やかな刻(とき)を過ごしてみませんか。
茶室「千里庵」は、禅院の方丈(ほうじょう:居室)を象(かたど)って造られています。
室町時代には、方丈前の小さな空間に、水を使わずに石や砂、草木などで自然風景の山と水を象徴化する「枯山水」の庭が発達し、禅僧はこの庭の前で悟りを開こうとして日々座禅に取り組んでいたといいます。一見簡素で変化に乏しい庭ですが、太陽の移ろいによる砂紋の陰影、植物の多様な緑、生垣越しに広がる空の青も含めて違った色彩を見せてくれます。
このような見方が、簡素なものの中にも、美しさを見出す日本人の「わび」の心に通じます。
「松の洲浜」は、川が河口付近から海へと注ぐ姿を象(かたど)ったものです。
西端の「深山の泉」からの湧水が南北二つの流れに分かれ、やがてここで合流して心字池へ流れていきます。 白い砂利のまわりにクロマツやハマボウなどの海岸に生える植物が植えられており、設計者である田治六郎氏は、ここに枯山水庭園の起源となる景観を再現した、と語っています。
「心字池」は、草書体の「心」という文字の形をした雄大な池で、中央休憩所からは、芝山(築山)を背景に、心字池、石組み、多くの名木、雪見灯篭など、日本庭園の成熟期にあたる華麗な「池泉回遊式庭園」の景観を鑑賞することができます。
また、心字池周辺は、園路を周遊しながら変化する景観を満喫して日本庭園の集大成を楽しむことができる、当園で最も規模の大きい場所です。江戸時代は、庭の担い手となる大名によって、多くの庭園が作庭され、見るためだけでなく遊興等にも利用されていました。
「つつじヶ丘」は、クルメツツジの園芸品種のほか、ヒラドツツジ、サツキなど多種類のツツジを群植し、「ツツジの名所」となるように作庭された場所で、赤・ピンク・白など多彩なツツジが咲き乱れる花のじゅうたんを楽しむことができます。
江戸時代は園芸ブームが起こり、人々が競って品種改良を行うことで多くの品種が生まれ、変わり種や手塩を掛けて育てた自慢の草花を持ちより、その美しさを競い合う「花くらべ」と呼ばれる品評会が各地で開かれました。
江戸の人々に想いを馳(は)せながら、ツツジの花を楽しんでみてはいかがでしょうか。
「旋律の鯉池」は、現代庭園をイメージして作庭され、自然石を使わず、直線に切り取られた切石が、オブジェのように並んでいるモダンな庭であり、切石を山々がつながる様子と見立て、そこから湧き出た水が川を経て海に流れる自然の風景を描いています。
設計者である田治六郎氏は、日本庭園の伝統を受け継ぎながらも、その殻を破ろうとする試みとして、新たな創作を表現したと語っています。
大地から隆起したような切石は力強さを感じ、池を泳ぐ鯉は、静かな中にも躍動を感じさせ、動的な風情を添えています。
洲浜を見越して観るボタン桜は格別な趣があります。
春の海、筑波根、美吉野など、約90品種・約12,000株のハナショウブが咲き誇ります。 見頃は6月上旬から6月中旬です。
6,250平方メートルの池に26品種の花ハスと7品種のスイレンが初夏の訪れとともに、池一面に咲き誇ります。開花に合わせて毎年早朝観蓮会を実施しています。
サワラは、一般に高山で自生する植物で、当園のように都会の平地で育っているのは珍しいとされています。サワラ林内の園路を歩いていると、どこか高山を散策している気分になれます。
日本庭園中央休憩所にて映像を上映しています。 この機会に是非ご覧ください。
静かなたたずまいのなかで、枯山水の庭を眺められます。
日本庭園の閑静なたたずまいのなかで、茶会などにご利用いただけます。
また春と秋のイベント開催時には、一般の方へ茶庭を特別公開します。
木々に囲まれた空間で観魚を楽しみながらひと時の憩いをお楽しみください。
※当面の間、休業いたします
日本万国博覧会開催時に世界各国から訪れた賓客をもてなすために建てられた格調高い施設です。
全面積 | 260,000平方メートル |
芝生面積 | 47,600平方メートル |
樹木 | 123種 約117,000本 |
草花 | 50種 約220,000株 |
設備 | 池3ヵ所 (心字池、 こい池、はす池) 建築物 (茶室、休憩所及び管理棟) 展示場( 園芸植物展示場) ビデオ放映室 (中央休憩所内) |
※自然文化園と共通料金です 。
1月2日から12月27日まで
(事情により変更になる場合があります)
9時30分から17時まで (入園は16時30分まで)
※4月1日~5月2日まで・10月・11月は無休
■電車でお越しの方
- 大阪モノレール「公園東口駅」下車徒歩15分
- 「万博記念公園駅」下車徒歩20分
■車でお越しの方
- 万博記念公園「日本庭園前駐車場」徒歩5分
- 「東駐車場」徒歩15分
- 「中央駐車場」徒歩20分